概要

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団長あいさつ

私たちは,原発事故によって,想像を絶するような苦難を背負った当事者の方々の相談を,数多く受けてきました。そして,前例のない歴史的惨事が起きたということをつくづく思い知らされました。

原告として立ち上がったみなさんは,突如として平穏な生活を破壊され,難民のように点々とする日々を強いられ,長年にわたって培ってきた仕事を失い,生き甲斐をも失い,さらに,友人や同僚などとの絆が分断され,大切な家族との別居を余儀なくされ,心安らかに暮らすことができた日常を踏みにじられた方々です。

私たちは「子供たちの未来 当たり前の日常 認めよ!避難の権利」というスローガンを掲げました。

子供・避難者支援法は,第1条で「放射性物質による放射線が人の健康に及ぼす危険について科学的に十分に解明されていない」と指摘し,第2条では「子供が放射線による健康への影響を受けやすい」と明記しています。

したがって,原告の方々が訴える恐怖や不安は,法律の趣旨に合致し,社会通念に照らし合理的根拠に基づいていることは明らかと言わなければなりません。

私たちは,この訴訟の目的を5つ掲げました。

  1. 被告国及び被告東電が,本件原発事故の法的責任の主体であることを明確にし,とりわけ被告国の損害賠償責任を明らかにすることです。
  2. 被告東電による低廉な賠償基準や,原子力損害賠償紛争解決センターの限界を打破し,原告らの被害に対する完全賠償を実現することです。
  3. 被告国に対し,本件原発事故の責任主体として,広く被害者に対する恒久的な補償制度の確立を実現させることです。
  4. 原告らの,被ばくの危険から避難する権利,被災地に安全に住む権利,帰還する権利を等しくかつ十分に実現し,原告らの自己決定を尊重すると共に人間の尊厳を回復することによって,子供・被災者支援法の理念を現実化することです。
  5. 本件原発事故の原因を徹底的に解明し,再発防止策を徹底させ,この地球上で,二度と同じような惨事を繰り返さないようにすることです。

私たちは,原発事故で傷つけられた人々を救済し,避難の権利を勝ち取るため,本件訴訟で原告となった幼い子供たちが,将来,「よい裁判だったね」と振り返ることができるよう,全力を尽くす所存です。

以上

公開日:
最終更新日:2016/09/26